心臓の底の記憶

死ぬまでにあと何曲聴けるのか。

サニーデイ・サービス 丸山晴茂に捧げる3曲。

サニーデイ・サービスのドラマー、丸山晴茂さんが亡くなった。

長引く体調不良により、バンドから離脱していたが、久々に曽我部さんから発表された近況はまさかの訃報だった。

2017年に発売された『青春狂走曲』の中で語られていた、晴茂さんによる離脱の真実はとても衝撃的な内容だった。

皆が「いつか」と待っていたバンドへの復帰は叶わなくなってしまったが、彼がサニーデイ・サービスで残した音は永遠に消えない。

知り合いでもなく、会ったこともなければ、一度も演奏する姿を生で観たこともないのだけれど、1リスナーとして感謝を込めて、勝手ながらこの3曲を捧げます。

 

サニーデイ・サービス/桜 super love

離脱中の晴茂さんのことを歌っているとも言われる一曲。曽我部さんが、この曲の入った『DANCE TO YOU』のレコーディングをこう振り返っていた。

晴茂くんは途中から来なくなったけど、晴茂くんが叩かないんだったら自分で叩くと思って、俺が何曲かで叩いているんです。だから、晴茂くんは不在だけど、そこも晴茂くんの何らかの意味があるとは思うんですよね。

*1

「君がいない」の意味が変わってしまった今、サビの歌詞を聴くと胸が苦しい。

 

●おとぎ話/ONLY LOVERS

晴茂さんがTwitter丸山晴茂 (@haruru6106) | Twitter)でこんなことをTweetしていたのを思い出した。

2018年6月6日におとぎ話の新しいアルバムが出たんですけど、晴茂さん、もう聴きましたか?

 

●尾崎友直/晴れた日に

晴茂さんに捧げた曲とも取れるような歌詞。

でも、この曲が収録されたアルバムは2018年3月に発表されているから、実際はそんなことなくまったくの偶然なのだけれど、あまりにも晴茂さんを思い出す歌詞に、涙が溢れ出してしまいそうになる。

同じROSE RECORDSのレーベルメイトだけどこの二人に面識があったかどうかは分からない。訃報を聞いた翌日に、この曲をたまたま聴いていて、驚いた。それまでも何回も聴いていたのにまったく気づかなかったけど、これは晴茂さんのことを歌っているんじゃないかって。

まず、曲名が「れた日に/On a Sunny Day」。

そして歌詞の端々にも晴茂さんの影が。

何回だって失敗してしまう事ってあるよね
悪いと分かりながらやってしまう事とかさ
ある青年は薬物を克服した
ある人はアルコール依存症と闘っている

空はこんなに爽やかで
もうすぐ大好きな五月が来るっていうのに
それでも必ず希望は僕を見てる
君ならやれるって僕を見てる

 

 晴茂さんの不在について、曽我部さんはこんなことも言っていた。
そう、サニーデイ・サービスはこれまでもこれからも、ずっとそのままだ。

──メンバー3人がそろわなくてもいいんですね。

全然いい。「LOVE ALBUM」(2000年9月リリース)を作ったときは参加してるミュージシャン全員をサニーデイ・サービスっていうコミューンの中に入れちゃおうって思ってたんだけど、でもやっぱり違うんだよね。サニーデイ・サービスは3人で始めた3人の物語だし、たぶん誰かが死んでもきっとそのままなんだよ。

 

──誰かが死んでも続いていく?

そう、死んでてもいいの。もはや死んだからってそれがなんなの?っていう感じがある。なんで死んだくらいでバンドやめなきゃいけないのかって話でさ。

 

──X JAPANのライブに行くと今もHIDEがいる、みたいなものですか?

そういうこと。そういうの最高じゃん(笑)。

 

──死んだとしても家族は家族のままですしね。

そうそう。遺影を置いてみんなでごはん食べたりしてるし、死んだから終わりってことでもない。もし今後どんだけ仲が悪くなったとしてもこれは3人で始めたリアルな物語だから。それは絶対に変わらないことですね。

 *2


最後に 「晴れた日に/On a Sunny Day」の一節を。
きっとみんな晴茂さんのことを、こう思い続けるだろう。

 

「青空の下であなたを愛してる」。

 

本当にありがとう、おつかれさま、さようなら。